留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

このページは2024年に調査した内容を掲載しています。

音楽・美術留学に関する情報は、「音楽・美術留学」タブにも記載しています。

国立大学
イタリア全土の大学99校のうち、61校を国立大学が占めます。うち大半は幅広い学部からなる総合大学で、工科大学、外国人大学、建築大学など特定の分野に特化した専門性のある大学が8校あります。入学には後期中等教育卒業資格(日本の高等学校に相当)が求められるほか、大学・学部によっては入学試験が実施されます。

私立大学
国立大学制度研究評価機構(ANVUR)によって認可された教育機関で、卒業時は法的に認められた学位を取得できます。イタリア全土に20校あり、大学によってはキャンパスがイタリア各地に分散している場合もあります。入学には後期中等教育卒業資格(日本の高等学校に相当)が求められるほか、後期中等教育課程での成績や試験による選考が行われます。

特例大学機関(Scuole e Istituti Superiori a ordinamento speciale)
研究活動を専門とし、主に博士号と同等の学位を取得するための機関です。機関数はイタリア全土で7校。入学には5年以内に取得した修士号が求められます。

オンライン大学
場所や時間に制約されることなく高度な教育を受ける可能性を提供することを目的とし、ウェブや衛星放送などを通じて、遠隔で授業を行う私立機関です。イタリア全土に11校あり、入学には後期中等教育卒業資格(日本の高等学校に相当)が求められます。

高等芸術音楽舞踏機関(Alta Formazione Artistica, Musicale e coreutica -AFAM)
芸術分野を学ぶ高等教育機関。国立機関がイタリア全土に105校あり、内訳は、音楽(73校)、アート産業(5校)、演劇(1校)、舞踏(1校)、美術(24校)、芸術工科(1校)となっています。
名称は大学ではありませんが、大学レベルの専門分野を習得することができます。国立美術院、国立音楽院などがこれに当たります。
国立美術院、国立音楽院以外でも、一部の専門学校などでは、学位取得コースを設置しているところもあります。

Scuola Superiore per mediatori linguistici - SSML
翻訳者・通訳者の育成を目的とした教育機関で、大学の学士号に相当する学位を取得できます。イタリア全土に52校存在します。

高等技術教育機関(Istituti Tecnologici Superiori/ITS Academy)
高度な技術的・専門的技能を有する技術者の育成を目的とした機関で、206校存在します。2年制のコースでは応用技術専門課程修了証書を、3年制のコースでは応用技術高等専門課程修了証書を取得できます。

イタリアの高等教育機関は、欧州各国の高等教育制度に一貫性を持たせることを目的のひとつとして締結された協定「ボローニャ・プロセス」に基づき、学士、修士、博士課程からなる3段階の高等教育システムを採用しています。
1サイクルを修了すると次のサイクルへの進学資格が与えられるシステムで、イタリアでは各サイクルは次の課程に相当します。

【大学】

イタリア制度図


第1サイクル
3年制の基礎課程:学士課程(Corso di Laurea:Bachelor’s degree program)
(卒業必要単位数:180ECTS)

第2サイクル
2年制の専攻課程:修士課程(Corso di Laurea Magistrale non a ciclo unico :Master’s degree program)(120ECTS)
5~6年制の学士修士一貫課程(Corso di Laurea Magistrale a ciclo unico:Combined Bachelor’s / Master’s degree program)
※医学・法学・建築学など一部の専攻分野(300~360ECTS)
マスターコース第1レベル(Corso di Master Universitario di Primo Livello:First-level Professional Master / Specializing Master)(通常1年制、60ECTS)

第3サイクル
3~4年制の博士課程(Corso di Dottorato di Ricerca:Research Doctorate/ PhD)
マスターコース第2レベル(Corso di Master Universitario di Secondo Livello :Second-level Professional Master / Specializing Master)(通常1年制、60ECTS)
※ 第2・3サイクルのマスターコース第1・第2レベルは、短期間で実践的なスキルを習得するためのコースです。学位は取得できません。

 

【高等芸術音楽舞踏機関 AFAM】

イタリア AFAM制度図


第1サイクル:3年制の基礎課程(Diploma Accademico di primo livello、大学の学士課程に相当)
第2サイクル:2年制の専攻課程(Diploma Accademico di secondo livello、大学の修士課程に相当)
第3サイクル:3~4年制の博士課程(Dottorato di ricerca、大学の博士課程に相当)

第2~3サイクルでは、次の課程に進学することもできます(ただし、どの機関・専攻分野でも開講しているとは限りません)。
第2サイクル
最短3年間の専門課程第1レベル(Diploma specializzazione primo livello、特定分野における高度なスキルを習得するためのコース)
最短1年間のマスターコース第1レベル(Master primo livello、特定分野における知識と技能を深めるためのコース)
第3サイクル
最短3年間の専門課程第2レベル(Diploma specializzazione secondo livello、特定分野における高度なスキルを習得するためのコース)
最短1年間のマスターコース第2レベル(Master secondo livello、特定分野における知識と技能を深めるためのコース)

【高等技術教育機関】
機関や専攻により異なりますが、欧州共通の資格枠組み(EQF)第5レベルに相当する応用技術専門課程修了証書「(Diploma di specializzazione per le tecnologie applicate、2年制)、またはEQF第6レベルに相当する応用技術高等専門課程修了証書(Diploma di specializzazione superiore per le tecnologie applicate、3年制)を取得できます。

【大学の短期コース】
出席証明書(Attestato di frequenza)など(大学の規定により異なる)

 

法学や経済学、外国語などの一般的な専攻分野に加え、イタリアならではの分野や珍しい分野として、ブドウ栽培・ワイン醸造学(ピサ大学)、化粧品技術学(聖心カトリック大学ローマ校)、飲食業科学技術学(ミラノ大学)、平和のための科学(ピサ大学)などが挙げられます。
そのほか、靴製作・デザイン、絵画修復、料理など、日本で既に専門の勉強あるいは実務経験を持つ留学希望者を対象にイタリア語指導+各専門分野の実践研修プログラムを持つ学校もあります。
 

【受け入れ条件】
学士課程および学士修士一貫課程では、後期中等教育修了に相当する資格(初等教育以降12年以上)のほか、イタリア語能力試験を受ける必要があります。語学能力試験は各機関が独自に行いますが、ヨーロッパ共通基準レベルB2以上のイタリア語を習得していれば免除されます。また、多くの大学や学科では選考試験に合格してからでないと出願手続きに進めません。
修士課程では、学士号に相当する学位が要件となり、イタリア語能力は各大学の判断で検証が行われます。
※ 学士および修士課程では、EU圏外の留学生はイタリア語能力C1以上取得などの要件を満たしていない場合は「留学生枠」が設けられている学科にしか出願できません。

【提供コースの例】
・シエナ外国人大学人文学部:観光業における翻訳コース、外国語としてのイタリア語教育専門家育成課程コース、イタリア語・文学・芸術コースなど
・ペルージャ外国人大学:国際コミュニケーションと広告コース、持続可能性と社会保障のための国際研究コース、イタリア語・イタリア文学コースなど
・ローマ大学:建築科学、言語・文化・文学・翻訳、心理学と健康、バイオテクノロジー、建築科学など
・ジェノヴァ大学:建築学、プロダクト・コミュニケーションデザイン、産科学、心理学(修士課程)など

【大学の学費例】
国立大学:年額 500ユーロ(サッサリ大学 外国人学生向け措置適用後)~2,700ユーロ(ミラノ大学 外国人学生向け措置適用後)
私立大学:年額 7,250ユーロ(ルムサ大学)~18,000ユーロ(ボッコーニ大学)
 

イタリアの高等教育機関に留学する場合、通常は大学省のサイト「www.universitaly.it」を通して、オンラインにて出願申請、入学手続き等を行います。
 
国立大学・私立大学・高等芸術音楽舞踏機関に出願する場合の手続きは、以下の通りです。
1. 各機関のホームページまたは大学・研究省のポータルサイト「UniversItaly」で志望する機関、学科をチェック
https://www.universitaly.it/ [イタリア語、英語、中国語]
2. 希望の学部・学科の募集要項を確認
3. イタリア語能力試験を受験する必要がある場合は、各機関のホームページで詳細を確認
4. 就学ビザを取得する必要があるかどうかを確認
5. 志望機関に外国人向けの志願時期や方法(選考試験の有無など)について問い合わせ
(選考試験や語学能力試験を受ける必要がある場合は、手順6の前に受験する)
6. 「UniversItaly」にアカウント登録し、必要な書類をアップロードして「入学前申請(Pre-enrollment application)」を行う
7. 申請が承認されると、大学から入学資格通知書を受領
8. 入学資格通知書を含む必要書類を揃え、予約の上、イタリア大使館または総領事館でビザを申請
9. 渡航後、滞在先の移民局で滞在許可書を取得
10. 大学にて最終登録手続き

【国立大学】

<TOLC 選考テスト>
定員制の学科や国が定める学部(医学部など)の場合は、「UniversItaly」で入学前申請を行う前に、全国統一試験(TOLC)または各機関が要求する試験を受験し、最低必要点数に達する必要があります。
TOLCは13種類に分かれており、希望の学科で要求される試験を受験します。オンラインで受験をしたり、最低点数に満たなかった場合に繰り返し受験したりすることも可能です。受験予約は、1月からオンラインで受け付けています。
TOLC受験予約ページ:https://guide.cisiaonline.it/it/prenotazione [イタリア語、英語]

<イタリア語技能>
留学生の場合は、ビザ申請前に各大学が主催するイタリア語能力確認ための試験を受けるか、ヨーロッパ共通基準レベルB2以上のイタリア語の知識を証明できる書類を提出する必要があります。
ヨーロッパ共通基準レベルC1/C2以上のイタリア語の知識を証明できる書類を保持している留学生は、大学が提供する各コースの「EU圏外留学生枠」に関係なく出願できます。

卒業を控える学生や卒業生が一般企業での就職やインターンシップを希望する場合は、大学のデータバンクで受け入れ先を探したり、履歴書をアップロードしたりできます。

大都市だけでなく小都市でも学生間の交流が積極的に行われており、幅広い校外活動を提供しています。地元の学生に話を聞いたり、学生協会に問い合わせをしたりしながら情報収集を行うのが良いでしょう。

イタリアへの留学生が多い国は、ヨーロッパ圏ではルーマニアとアルバニア(合計18%)で、アジアでは中国とイラン(合計7%)が多い傾向にあります。

日本人が対象となるイタリア政府奨学金は、国立の大学、美術学院、音楽院、研究所での留学のための奨学金です。奨学金の募集・手続きはイタリア文化会館が行っています。
 
イタリア政府奨学金の詳細はページ下部 「この国の外国政府等奨学金を見る」 をご参照ください。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。