留学先の国の特徴や留学情報をご紹介。
国ごとの違いを明確に知り、自分にあった留学先を見つけましょう。

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留学先国・地域:イギリス(ロンドン)
留学期間:1年間(2021年9月~2022年9月)
学校名:ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
専攻名:MA TESOL In-Service(英語教授法修士)
留学形態:大学院への進学(修士号取得)

Q. 留学をしようと思った動機を教えてください。

専門的な知識やスキルを向上させたいと思い、社会人大学院留学を志望しました。大学を卒業後、数年ほど中学校の英語教諭として勤務したのですが、エビデンスに基づく教育の実践に課題を感じていました。また、現場では学習に様々な困難を抱える生徒と関わることもあり、そうした学習者へのより良い英語教育について考えさせられる機会が多くありました。教材研究を行うなかで、日本での研究が限られていることを知り、「学習障害のある学習者の英語教育」について専門的に学びたいと思い、このテーマが盛んに研究されているイギリスへの留学を志しました。


Q. 留学先の国・地域、留学先校を選んだ理由を教えてください。

コースにもよりますが、イギリスの大学院では1年間で修士号が取得できる点が魅力的でした。また、世界から集まる英語教育者と学ぶことができる点もイギリスの大学院を目指した理由の1つです。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンを選んだ理由は、教育大学院の他のコースの授業を履修できる制度があったことです。私の研究テーマが、言語教育のみでなく特別支援教育にも関連していたため、自分の関心に沿った学びを実現できると考えたからです。他にも、以前オンライン講座(MOOCs)で留学先校の無料講座を受けたことがあり、内容が大変興味深く、教授から直接学びたいと思ったということも理由の1つです。


Q. 留学に対する家族の反応はどうでしたか?

初めは、「心配」が大きかったようです。まず、社会人として留学を選択するリスクです。「このまま現場で経験を積むほうがいいのではないか」や、退職をしての留学だったので「再就職先はどうするのか」とキャリアに関して心配をしてくれました。第二に、コロナ禍での留学です。現地の医療体制は大丈夫なのか、色々な制限のあるなかで本当に満足のいく留学生活を送ることができるのかといったことを非常に心配してくれていました。留学がなぜ必要なのかキャリアのビジョンを共有したり、留学先校ではコロナ禍の受け入れ支援体制があることを説明したりしていくことで、不安も少し解消されたようで、大変前向きにサポートしてくれました。

Q. 留学の準備にはどのくらいの期間を要しましたか?留学を思い立ってから、実際に出発するまで、それぞれの準備段階にわけて教えてください。

2020年5月:留学を決意、情報収集開始→2020年9月:奨学金応募→2020年11月:大学院へ志願アプリケーションを提出→2021年2月:大学院の合格発表→2021年3月:奨学金の合格発表→2021年7月:留学先大学よりCAS(入学証明としての番号)が発行されビザを申請→2021年8月:ビザの取得→2021年9月:出発


Q. 留学情報の収集はどのように行っていましたか?使用したウェブサイト、雑誌、イベント、SNS(YouTube、Twitter等)などがあれば、あわせて教えてください。

行って良かったと思う情報収集方法は、志願先の大学院や教授へ直接連絡を取ってみるということです。ウェブサイトには掲載されていない昨年度のシラバスを共有してくださったり、研究の実現可能性について意見をくださったりと、非常に有益な情報をいただくことができました。さらに、大学院が主催するオンライン説明会は、アドミッションに直接質問のできる機会なので、参加をおすすめします。また、周りの留学経験者や志望する大学院に所属する日本の学生の方に連絡を取り、授業の雰囲気や生活の様子など直接伺った情報も大変役に立ちました。


Q. 語学学習はどのように行っていましたか?

出願に必要であった英語資格の学習に関しては、日々の勤務もあり、なかなか時間を割くことが難しかったのですが、毎日4技能(ライティングなど)のタスクをそれぞれ1つは解くようにしました。また、日頃から英語ニュースのポッドキャストを聞くのですが、リスニングや時事的な知識を得るのに効果的だと感じています。研究分野に関する英語学習に関しては、講義で扱われる教科書を事前に読んで用語を確認したり、関心のあるトピックの公開レクチャー動画を視聴してノートにまとめたりして学習しました。


Q. 留学(斡旋)サービスなどは利用しましたか?

留学サービスに登録したのですが、志望大学院が対象外だったため、結果的にあまり利用することはありませんでした。ビザに関しては、コロナ禍や出願時に海外に滞在していたこともあり、ビザ申請のサポートを利用しました。


Q. 留学の資金調達はどのように行いましたか?利用した奨学金などがあれば、あわせて教えてください。

JASSO海外留学支援制度(大学院学位取得型)からの給付型の奨学金を利用しました。授業料と生活費が支給されたので、学修に集中して生活を送ることができました。不足分は、勤務していた際に貯めていた資金から調達しました。


Q. 入学や学生登録の手続き、ビザの手続きなどはどのように行いましたか?特に苦労したことや気を付けた方がいいことなどがあれば教えてください。

留学先大学ではオンラインサービスやウェブサイトが大変充実していたので、入学や学生登録の手続きに関してあまり困ることはありませんでした。大学院で学生登録を行った際も、学生スタッフが優しく案内してくださったので、スムーズに終えることができました。大学とはオンラインでのやり取りが多かったので、こまめにメールやポータルの確認をすることが大切だと思いました。ビザ申請に関しては、留学サービスを利用しました。海外に滞在していた関係で追加書類の提出があったので、書類準備サポートがあったのは心強かったです。海外渡航履歴の関係で、追加で必要になる書類もあるかもしれませんので、入念に確認するとよいかもしれません。

Q. 留学中の学校生活はどうですか(どうでしたか)?海外の学校だからこそ苦労することや、逆に学校生活での楽しみなどを教えてください。

最前線の研究をされている教授陣の授業は大変興味深く、刺激を受けました。一方で、多くのリーディング課題をこなさなければいけないことが大変でした。また、授業のポータルに課題の内容に関する意見を書き込んだり、コースメイトの見解に対しクリティカルに意見を述べたりすることに苦労しました。楽しかったことは、コースメイトが世界各国からの英語教育者だったため、様々な事例や課題を共有することができたことです。また、留学先大学ではたくさんのソーシャルイベントが準備されており、様々なワークショップへの参加や異なる学部の学生と交流できたことがとても良かったです。


Q. 学校外の生活はいかがですか(いかがでしたか)?寮などでの生活や休日の過ごし方に加えて、街の治安などについても教えてください。

4か国からの大学院生との寮生活を送りました。それぞれの国のお祝いをしたり、互いの研究について語り合ったりしたことが良い経験となりました。大学から徒歩圏内にあり、便利でした。休日は、友人とカフェや博物館へ出掛けることが多かったです。ロンドンには無料で開放されている博物館や美術館が多くあり、とても魅力的でした。サイクリングもよいリフレッシュになりました。治安に関してですが、年度初めの留学生向けワークショップに参加し、注意事項を守り生活するように心がけたところ、大きな問題なく過ごすことができました。留学生を標的にした犯罪や緊急時の対応について学べたので、開催されている場合は、参加をおすすめします。


Q. アルバイトやインターンはしていますか(していましたか)? 

課題が忙しくアルバイトはできなかったため、短期で行えるボランティアをしました。大学が主催する1デイ・ボランティアに参加し、地域の小学生に日本語や日本文化を教えました。他の学部の学生と知り合えたり、年度末のボランティア表彰式にも出席できたりするので、大学の奉仕活動への参加をおすすめします。他にも、現地の小学校にてアシスタント教員として、移民や学習障害のある児童への個別学習支援を行いました。日本とは異なるイギリスの学校の教育活動から学ぶことは大変多く、大学院の授業で学んでいたことを活かせた貴重な経験となりました。

Q. 留学を経験してみて感じたこと、学んだことはありますか?

研究の期間は大変なこともありましたが、様々なバックグラウンドや意志をもった友人からたくさん刺激を受け、ともに学ぶことができたことは、大きな励みとなりました。1年はあっという間に過ぎてしまったので、もう少し事前に計画を練っておくべきだったと思いました。学んだことの1つとして、積極的なセルフスタディーの姿勢です。日本の大学よりもイギリスの大学では、より学生に学びが委ねられている印象を受けました。また、研究の合間にはリフレッシュできる時間を設け、バランスの良い自律的な学習習慣を築くことが大切だと感じました。


Q. 留学後の進路について教えてください。

帰国後は、国立大学の留学オフィスにて事務補佐を務め、海外提携大学からのアドミッション業務に携わりました。今後は、私立大学にて講師として勤務する予定です。外国語教育に携わりながら、修士課程で深めたテーマに関する研究を進めたいと考えています。


Q. 最後にこれから留学をする方へのメッセージ・アドバイスをお願いします。

大変な時期もたくさんありましたが、素晴らしい教授や友人に恵まれたかけがえのない留学経験だったと思います。授業や現地の生活が不安という方もいらっしゃると思いますが、意外と周りには助けてくれる人がいるのであまり心配なさらなくてよいと思います。大学によっては研究が難しいテーマもあると思うので、大学選びの際は、直接教授にメールを送る、シラバスを読むなど時間をかけて行うとよいでしょう。末筆ながら、皆さまの留学を応援しています!

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、
文部科学省が所管する団体です。
学生支援を先導する中核機関として、「奨学金事業」
「留学生支援事業」および
「学生生活支援事業」を
総合的に実施し、
次世代の社会を担う豊かな
人間性を備えた創造的な人材を育成すると
ともに、
国際理解・交流の促進を図ることを目指しています。